会話が終わったあと
一人になってから
急に胸の奥がざわつくことがあります。
その場では
ちゃんと笑っていました。
空気も
壊れていなかったと思います。
むしろ、
うまく回っていたはずです。
それなのに
時間が経つほど
小さな違和感が残ったりします。
「あれでよかったのかな」
「なんで、あんな一言を足したんだろう」
この現象を、私はずっと
とっさに反応してしまう自分は
未熟なのだ
と思ってきました。
考える前に口が動く。
空気を読んで
相手を不快にしない為に
その場に合う言葉を選んでしまう。
だから
後から
浅かった、余計だったなどと
反省し、自分を責めていました。
でも最近は
その見方が少しだけ変わりました。
今回は、
正解を出すためではなく
この現状を深く理解するために
書いてみようと思います。
Contents
ずっと長所だと思っていた”空気を読むこと”
私は昔から、
空気を読むのが得意なほうでした。
誰が何を求めているか。
この場が、どんな雰囲気か。
今、ズレている人はいないか。
それを、
ほとんど無意識に察してしまいます。
だから
- 場が白けそうなら言葉を足す
- 沈黙が続きそうなら誰かに振る
- 誰かが浮きそうなら間に入る
そうやって、
調整役を自然に引き受けてきました。
みんながその場を
心地よく過ごせるように。
それで助かった場面も
確かにありました。
だから
それが悪いことだとは
思っていませんでした。
でも
年齢を重ねるにつれて
少しずつ違和感が増えていきました。
その場は丸く収まる。
相手も嫌な顔はしない。
なのに
自分の中だけが
置き去りになります。
「私は今、
本当はどう感じていたんだろう」
この問いが、
あとから、
静かに浮かび上がってくるのです。
とっさの一言が残したもの
実際の出来事を
紹介してみますね。
① 場を盛り上げたつもりが、悪口みたいになった瞬間
取引先の方の話をしていた時のことです。
仮にAさんとします。
Aさんは、
少し返事がルーズなところのある方です。
その、Aさんについて
スタッフのBさんと
「締め切り、間に合いますかね」
という話をしていただけでした。
その流れで私は、
場を和ませたくて
「Aさんだからなぁ、笑」
と、言ってしまいました。
その場は
軽く笑いが起きて、
会話は流れていきました。
でも、
あとから何度も
その場面が頭に浮かびました。
私が言ったあの一言で、
Aさんは
「ネタにされる人」
になっていなかっただろうか。
悪く言うつもりなんて、
本当にありませんでした。
でも
そう受け取られる可能性を
私は無視できなかったのです。
② 気を使いすぎて、相手を困らせた会話
小学校の登校班で
5年生の女の子と
歩いていた時のことです。
その子が、
ぽつっと言いました。
「昨日、私、誕生日だったんだ」
それだけでした。
でも私の頭は、
一気に動き出しました。
- おめでとうって言ってほしいのかな。
- 話を広げたほうがいいのかな。
- 何か聞いたほうがいいのかな。
そう思った瞬間、
口が滑り出しました。
「おめでとうー!ケーキ食べた?」
「プレゼントは?」
気づいたら、
質問ばかりしてしまっていたと思います。
その子は、最後
困ったように黙ってしまいました。
正直、
その子のことを知りたかった
わけではありません。
相手の気持ちに
沿おうとした結果だったのだと思います。
でも結果は、
逆になってしまった気がしました。
あとから、
申し訳なさが残りました。
相手の子のほうが大人だった。
そう感じてしまった自分も、
少し苦しく感じ、反省しました。
③ 空気を読んで、引き受けてしまう癖
誰もやらない。
誰も手を挙げない。
その空気が、
どうしても耐えられません。
「じゃあ、私がやろうかな!」
そう言ってしまうことが
よくあります。
私だって、
他のメンバーが言うように
できない理由はたくさんあります。
時間も、余裕も、気力も。
本当は、
引き受けたくない時もあります。
でも
場が止まって、どうにか
誰かに押しつけて
その後
更に、話合いや相談の時間を
取られるくらいなら、
私がやったほうが早いし、気が楽。
そう反射的に思ってしまうのです。
今の地区委員の役員決めも、
まさにそうでした。
候補は3人。
そのうちの一人に
うまく流れを作られて、
私が選ばれました。
正直、
「はめられた」
と感じていました。
でも
ことを荒立てたくなくて、
引き受けてしまいました。
その結果が、
今のしんどさです。
④ 褒め言葉への”返し”の正解
褒められたとき、
どう返すのが正解なのでしょうか。
小学校の登校班で、
「きれいに並んでいますね」
と言われたとき。
とっさに、
「そんなことないですよ」
と答えてしまいました。
たしかにその日はきれいに並べてました。
でも、
普段はこんなきれいな列じゃない・・・
そんな気持ちがあったからこその
「そんなことない」
という返事でした。
でも、
例えそうだとしても
「ありがとうございます」
で、よかった場面だった
と思うんです。
あとから
素直に受け取れなかった自分と
きれいに並んでいたみんなを
褒めてあげられなかった自分を
少し残念に思いました。
そんな出来事とは
相反して
こんなこともありました。
スーパーのレジでの出来事です。
後ろに並んでいたおばさまに、
「まあ、綺麗な方ね」
と言っていただきました。
その日は美容院帰りで、
悪気なく、
「ありがとうございます」
と笑顔で答えました。
すると
おばさまは明らかに
嫌な表情になってしまったんです。
もちろん、私以外の要因で
そんな表情をされていた可能性も
考えられますが
私は、
何か気分を害してしまったのだと感じて
とても嫌な気持ちになりました。
否定しても後悔。
受け取っても後悔。
考えること自体が、
しんどくなっていました。
「正解」とは?
そして、
ふと思ったんです。
そもそも
なぜ私は
こんなに「正解」を求めて
とっさに動いてしまうのか。
・・・たどり着いた答えは
おそらく、
私の脳内には 敏感すぎる
「空気のスキャナー」が
埋め込まれているのかもしれない
ということ。
- 相手の表情
- 声のトーン
- 場の温度…
これらを一瞬で拾い上げてしまう。
これは、もう
これまでの環境や、
経験の中で培われてきた
癖のような反応で
私にとっては
「疲れの種」でしかありませんでした。
でも、
捉え方を変えれば
これって
人の変化を敏感に察知できる
私が持って生まれた
「才能」なんじゃないか。
問題だったのは、
そのセンサーが敏感すぎて
私がその
情報の「奴隷」になっていたこと
だったのではないか
ということ。
センサーが
「空気が悪いよ!」と警告を出せば
自分の気持ちを無視してでも、
すぐに消火活動に走り出してしまう。
これを「才能」と呼ぶのは、
少し自惚れが強いかもしれません。
でも
少なくとも
「私が未熟だから
反射的に動いてしまう」
のではなく
「情報を受け取りすぎて、
手が勝手に動いてしまう」 のだと
解釈してみることにしたんです。
自分の能力を否定するのをやめて
「さて、この敏感なセンサーと
どう付き合おうか」
と考えた方が
少しだけ、建設的になれる気がしたからです。

学び|私がとっさに反応してしまう理由
ここまで振り返っても
私はまだ
どう振る舞うのが正解だったのかは
よくわかりません。
ただ一つ言えるのは
その場で選んだ言葉は
必ずしも
自分の感覚と一致していなかった
ということです。
- 空気を壊したくなかった。
- 相手に嫌な思いをさせたくなかった。
その気持ちは確かにあったし、
嘘ではありません。
けれど同時に
空気を読むふりをしながら、
自分が悪者にならない位置を
選んでいた場面も
確かにあったのだと思います。
それに、今思えば
相手はそこまで
深く考えていなかったかもしれない。
だからこそ
誰かを守るためだけじゃなく、
自分が傷つかないために
行動した結果だったとも言えます。
だからこそ
その場はうまく回っても
自分の中にだけ
置き去りにされた感覚が
残っていったのだと思います。
だから、今は
「正解だったかどうか」
よりも
関係を壊したくないという気持ちが
私自身の感覚を
置き去りにしていた。
その事実を
今はちゃんと引き取っておこう
と思っています。
私がとっさに反応してしまう理由は
きっと
そこにあったのだと
感じているからです。
まとめ|考えなくていい場所を、増やしていく
もう、
どっちが「正解」かを
考え続けるのはやめようと思います。
相手の反応や、
機嫌や、評価…
これらを全部背負うのは
無理があります。
大事なのは
その場で
完璧な言葉を選ぶこと
じゃなくていい。
「あの時の私は、
自分の感覚を
ちゃんと感じていたか」
それだけです。
とっさに反応してしまっても、
それはそれでいい。
あとから
自分を責める代わりに
「私は何を守りたかったんだろう」
そう問い直せたら、
少し楽になると思うからです。
正直、
これを書いたからといって
すぐに悩まなくなるわけではありません。
たぶん私は
また空気を読んで、
また余計な一言を言って、
あとから疲れると思います。
それでも
「無意識だった」で済ませずに
立ち止まれるようになっただけでも
今は十分だと思うし、
成長に繋がっていると信じています。
そして
”敏感センサー”を切って
ただ温かいお茶を飲む時間。
そんな、
なにも考えなくていい時間を
少しずつ増やしていくことを
楽しみに思っています。
この文章が、
立ち止まり損ねてきた誰かの
言葉にならない違和感に
名前をつけるきっかけになれば
それで充分です。
最後まで読んでいただき、
ありがとうございました。











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