傷に唾をつけるのはアリ?ナシ?──昔の知恵と現代の応急処置

「あっ!」
包丁で指先をちょっと切った瞬間
思わず口に入れちゃったこと、ありませんか?

私も子どものころ、
傷ができると、『唾つけとき!』と
ばあちゃんが言っていたのを思い出します。

当時は
「え、唾液ってそんなにすごいの?」と
半信半疑でしたが

大人になってから調べてみると
唾液には意外な成分が含まれていて

理屈としては確かに
傷の治りを助ける力があることがわかりました。

でも、

口の中の傷と皮膚の傷は環境がまったく違う。

口に入れたら逆に
悪化するケースもあると知ったとき

「なるほど、昔の知恵も万能じゃないんだな」と
思わず唸りました。

今回は、私自身の体験も交えながら
昔の知恵、唾液の成分、そして
現代の正しい傷のケアを整理してみます。

昔の知恵「傷に唾」はどこから来た?

小さいころ、
はさみでちょっと指を切っただけで
明治生まれのばあちゃんが

「あらー唾、つけときや~」と
言ってくることがありました。

言われるたび、、
「なんで口?汚くない?」
と思ったけれど

ばあちゃんはきっと
こう言うしかなかったんですよね。

当時は薬も限られていたし
家庭でできる応急処置は
自然のもので代用するしかなかった。

そして大人になって
何気なくGoogle先生に聞いてみたら

科学的に見れば、唾液には確かに
傷の修復に関わる成分が含まれているらしいです。

昔の人のカンというか、感覚というか、は
スゴイ!と感心したのを覚えています。

  • リゾチーム:細菌の細胞壁を壊す酵素で、抗菌作用がある
  • ヒスタチン:抗菌ペプチドで傷の治癒を助ける
  • 成長因子(EGFなど):皮膚や粘膜の細胞再生を促進

唾液にはこれらが含まれており、
口の中の傷を早く治すという根拠になるものです。

口内炎や舌の傷が治りやすいのも納得ですね。

だから理屈としては
ばあちゃんの言うことも一理あるわけです。

でも、皮膚の傷に唾液は危険

口の中の傷と違い、皮膚の傷は
雑菌に対して弱いという事実があります。

口の中には、
ミュータンス菌、カンジダ菌、大腸菌など…
たくさんの菌が共存しています。

唾液を切り傷に塗ると
これらの菌が入り込み

感染リスクが高まるのです。

深い傷や出血が多い場合
蜂窩織炎や破傷風など…
思わぬトラブルにつながることもあります。

また

唾液の抗菌成分は万能ではなく
血液や皮膚の汚れが混ざると、効果が落ちます。

舐めたからといって
止血効果があるわけでもありません。

痛みが和らぐ気がするのは
湿潤で一時的に感覚がマイルドになるだけ。

ということだそうです。

包丁で切ったときの正しい応急処置

では、包丁で指を切ったとき
どうすれば安全に早く治せるのでしょうか?

私が学んだ方法は、とてもシンプルです。

  1. 流水で洗う
    まずは流水で傷口の汚れを流します。
    できれば石けんを使っても良いです。
    この時、ゴシゴシこすらないことがポイント。
    優しく流すだけで十分です。
  2. 清潔なガーゼやティッシュで圧迫止血
    小さな傷でも、血が止まるまで
    しっかり圧迫します。
    指を軽く押さえるだけで血が固まり、自然に止血できます。
  3. 絆創膏やキズパワーパッドで保護
    傷口を清潔に保つことが最優先。
    絆創膏やキズパワーパッドで覆えば
    雑菌の侵入を防ぎ、湿潤環境もキープできます。
  4. 医療機関に相談する
    傷が深い、出血が止まらない、
    痛みが強い場合は、早めに受診するのが安心です。

唾液と現代スキンケアの共通点

私が面白いなと感じたのは

唾液に含まれる成分の多くが
現代のスキンケアや医療用治療にも応用されていることです。

主に以下のようなものです。

  • EGF配合美容液:皮膚の再生を助ける
  • ペプチド系クリーム:修復・抗炎症作用
  • アラントイン:刺激を抑えて治癒をサポート
  • ナイアシンアミド:皮膚バリアを強化し、炎症を抑える

これらの成分。
聞いたこと、ありますよね?

唾液の成分を直接皮膚に塗ることは危険だけど

安全に抽出・合成して配合することで
同じ効果を得られるんですね。

だから昔の知恵をそのまま実践する必要はなく
現代の知識を活かすのが賢い方法なのかもしれません。

私の体験:やっぱり舐めちゃう「あるある」

とはいいつつ、正直に告白すると…

私、料理中に指を切った瞬間
無意識に舐めちゃうことがあります(笑)

血が出ると、つい口に持っていく
あの反射…昔の本能なのかなって思っています。

でも今は

「あ、これ雑菌やばいかも」と一瞬で思い直し
流水→圧迫→絆創膏のルーティンに切り替えます。

こうしておくと、傷の治りも早いし
化膿の心配もないですもんね。

まとめ:昔の知恵と現代科学

唾液には確かに
抗菌や修復を助ける成分が含まれていて
口の中の小さな傷には効果的です。

でも

皮膚の傷に塗ると
雑菌のリスクが高く、逆に
悪化する可能性があるというのもまた事実。

だから、包丁で指を切ったときは

流水で洗う → 圧迫止血 → 清潔に保護
この順で対応するのがベストです。

昔の知恵を懐かしみつつも
現代の安全な方法を知っておくことが
家族や自分を守る第一歩。

でも、

子どもたちには
傷をペロッとしていた時代の事も
伝えていきたいとは思っています。

人間の常識って時代が変われば
非常識になるんだよ~って

なかなかいい話題になるとおもうんですよね。

私はこれを知ってから、
料理中のちょっとしたケガにも
落ち着いて対処できるようになりました。

この記事を読んで下さっているあなたも
ちょっとした反射的行動を思い出しながら、

「ああ、やっぱり唾液は口の中専用だな」と
笑ってもらえたら嬉しいです。

今回もお読みいただき、ありがとうございました!

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