子供の頃、大叔母がつけていた
ヴァンクリーフの指輪を見たのが
私にとっての最初の出会いでした。
何の宝石かは分からなかったけれど
その細やかな作りと光の反射が
子供の目にもはっきりと伝わってきて…
ただただ見とれていた記憶があります。
大学生になると、
「アルハンブラはお水系のお姉さんがつけるもの」
という勝手なイメージがあって
少し遠慮して眺めていました。
でも、
ジュエリー自体は好きだし、
石も好き。
20代の頃に気に入って着用していた
プリンセスタイプのプチネックレスが
何となく似合わなくなって
年齢を重ねて、
自分に似合うものや好きなものを
もっと素直に楽しめるようになったタイミングで
ふと、
ヴァンクリーフを素敵に着こなしていた
大叔母を思い出したんです。
そんなとき、ちょうど秋の庭園美術館で
ヴァンクリーフ&アーペル展があると知り
行ってみることにしました。
今回は、目黒にある庭園美術館での
体験を綴ってみようと思います。
Contents
当日の装いと準備
展覧会に良し行くぞ!となった日、
まず考えたのは荷物です。
庭園美術館に行くの初めてでしたが、
場所によっては狭い通路などに
展示物があるかもしれないし
大きなバッグで行くのは
マナー違反かもしれない・・・
と思い、
小さめのハンドバッグにしました。
歩くし、曇り予報だったので
雨も降るかもしれないので
靴は綺麗めのスニーカー。
アクセサリーはちょっと
迷いましたが・・・
ティファニーの0.28カラット・バイザヤードで
シンプルに。
でも、気分を上げてお出かけしました。
実際に行ってみると、
入り口にロッカーがありました。
やはり、大きな荷物やバックパックは
他の方のご迷惑になってしまいますものね。
こういう細かい配慮が
素敵だなと思いました。
庭園美術館の雰囲気
庭園美術館に到着したのは
雨上がりの午後でした。
庭園は冬目前の静かな空気に包まれていて
都会の目黒にいるのを忘れそうなほど。
「こんなところがあったんだ・・・」
実家は田んぼや山ばかりの
田舎出身の私は、
自然然と触れると妙にウキウキし出します(笑)
都会の中の庭園で
雨上がりのしっとりとした木々の姿や
濡れた苔の緑の匂いまで感じられて、
思わず深呼吸してしまいました。
建物はアール・デコらしい装飾が施されていて、
落ち着いた照明と相まって、
作品を眺めるのにぴったりの空間です。
アール・デコとは
1910年代から30年代にかけてフランスを中心にヨーロッパを席巻した工芸・建築・絵画・ファッションなど全ての分野に波及した装飾様式の総称です。
展示室のレイアウトも工夫されていて、
作品を十分に堪能できるようになっています。
天井から壁、床の装飾や照明の光が
ジュエリーの輝きを柔らかく包み込むような
そんな官能的な空間で
ただ眺めているだけでワクワクしました。
庭園美術館は初めて来ましたが
「また違う展示も見に来たい」と思うほど
とても居心地のいい空間でした。
展示作品の印象
ただただ圧巻
展示されているジュエリーは
どれも圧倒的な美しさです。
特に、ダイヤモンドやエメラルドの大きさには
目を奪われ、思わずフラフラしてしまいました
というのも。
日常、例えば、
雑貨店などで売られている
キュービックジルコニアのキラキラの
アクセサリーを若い子が楽しんでいる姿
を知っているせいか
”このサイズで本物なんてありえない”
というサイズの宝石が
ゴロゴロと展示してあるんですもの!
作品の素材のタグを見ると、
「プラチナ、ダイアモンド、オニキス…」
みたいに書いてあって、
やはり、ダイアモンドかぁぁぁー!
と、衝撃を受けてまいりました。
私の感激ポイント
私は普段は見ることのない背面まで
見られるように展示されていたのが
とっても嬉しかったです。
デザインの写真集などでは作品の写真は
正面、良くて側面しか
載っていませんよね。
すべてではありませんが、
普段見ることのできない
背面までも見られる展示方法に
私は感激しました。
石のセットの仕方など…
表からは見えない細かい部分まで
手を抜かず作られていることが伝わってきて
やはりただの高級品ではなく、
作り手のこだわりや
作品としての存在感がありました。
また、作品としての存在感といえば、
1952年のシャンティイジップネックレスは
特に印象的でした。
動画で仕組みを説明してくれていて
ジッパーで首に添うデザインの調節ができて
ジッパーを閉めて腕に巻ければ
ブレスレットにもなる・・・
革新的なハイジュエリーです。
ジッパー自体は現代では
当たり前に普及しているものですが、
そのジッパーを
とても柔らかいゴールド素材で作ってしまうなんて。
…貧乏性な私なら傷がつかないか心配で
着けられないとおもいます(笑)。
でも、それも含めて
ハイジュエラーとしての格というか、
凄さなんだなと思いました。
細部へのこだわり
初期の作品には
肉眼では見落としてしまいそうな
ミル打ちや
螺旋を描く
オニキスの細工がありました。
こうした細部へのこだわりを
目の当たりにすると、
作り手の挑戦心や遊び心を感じます。
有名なミステリーセットも
やはり圧巻でした。
小さな石を支える金属を最小限にして、
輝きを最大限にする技術は
やはり
ジュエリーを「作品」として
完成させる力を持っています。
現行の作品ももちろん素晴らしいですが
初期の初期の作品には
独特の挑戦心や大胆さがあり、
私の心をぐっと引きつけました。
さらに、
宝石ジュエリー以外の展示も面白かったです。
木製の腕時計や、
シルク製のクラッチバッグもありました。
シルク部分は経年劣化も少し見えましたが
それも含めて歴史を感じさせる
深味わいを感じました。
木の温かみやシルクの柔らかな美しさは
作品の完成当時は
息をのむほどだったと思います。

ちょっと残念な余談とリアル体験
今回私は、前売り券を買わずに
ふらっと行きました。
庭園美術館自体に行くことが
初めてだったので、
入口に立ってくれていたスタッフの
可愛いお姉さんに
チケットの買い方や美術館の案内など
を聞いていました。
(私にとっては、こういうスタッフの方との
コミュニケーションも楽しみのうちの一つなんです♪)
その間に起きた出来事が
少し印象に残ってしまったので
リアルな体験ですので書いておきます。
「いかにも」な女性が
黒ゲレンデで
庭園入口に横付けして、
スタッフさんとお話されていました。
遠方から来られたのかと思いきや
品川ナンバー、近所かいっ。
その 30代か40代くらいの女性。
首にも耳にもアルハンブラ……
お連れの方もいらっしゃらず
おひとりで運転して来られたようでした。
正直、わたしも
ちいさなネックレスは似合わなくなってきたし
いよいよ、存在感のある
ヴィンテージ アルハンブラネックレスに手を出すのはどうかしら…と思っていたのですが
こういう方を見てしまうと
少し気が失せてしまいます。
ヴァン クリーフ&アーペルの
ポジティブな人生観が表れている
アルハンブラモチーフ。
そんな意味で
尊敬とあこがれの意味を込めて
素敵だなとせっかく思えていたのに
一瞬にして、20代の頃
お水系のお姉さんたちがこぞって
付けていたのを見て
謙遜していた事を思い出してしまいました。
私にとってアクセサリーは
見せびらかしたり、自慢するものじゃなくて
自分自身を強くするきっかけになったり、
そんな自分を表現するための物。
だから、
他の方に振り回されるわけじゃないけれど
”見られ方”にもこだわります。
品のある女性でいたい。
そんな気持ちが
彼女たちと同じ類になる事を拒むので
アルハンブラは一旦保留です。
ヴァン クリーフ&アーペルへの憧れは、
アルハンブラではなく違う作品で手にしようかな
そう思えた出来事でした。
でも
この出来事の後に
展覧会を見られたのは本当に良かったです。
もし帰りがけにあの女性を見ていたら
せっかくの感動が揺らいでいたかも?
・・・いえ、そんなことはないか。
展示会は本当に素晴らしかったです。
機会があれば、開催期間中、
もう一度行ってみようかな。
そんなつもりでいます。
ちなみに
大きなエメラルドが印象的だった
1929年 コルレットネックレスのクリアファイルが
ショップで売られていたので買ってきました♪
(子供の残念な成績表を入れるファイルにして
私の心を浄化してもらおうと思います…笑)
展覧会を通して考えたこと
ジュエリーを見ていると
技術力やデザイン力だけでなく
作り手の遊び心や挑戦心
感情が反映されているのを感じます。
今回の体験は
「プロフェッショナルって何だろう?」
「自分はどういう価値観で物を選んでいるのか?」
そういうことを
自然と考えるきっかけになりました。
ハイジュエリーという特別な世界が、
日常の感覚にも影響を与えてくれる。
そんないい一日でした。
自分の好きなもの、価値観、
惹かれる理由――
それを整理して、
これからの日常でも大切にしたいなと
改めて思いました。
今回もお読みいただき、ありがとうございました。













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